農業法人とは
農業法人は、企業として、法人形態によって農業を営む法人の総称です。
学校法人や医療法人等の法的に定められた名称とは異なり、農業を営む法人に対し任意で使用される名称です。法人形態は「会社法人」と「農事組合法人」とに分けられ、このなかで、農地法第2条第3項の要件に適合し、“農業経営を行うために農地を取得できる” 農業法人のことを「農地所有適格法人」と言います。
和歌山県農業会議では、農業者の経営を法人化するサポートをしています。
農地保有適格法人の要件
農地所有適格法人の要件は次の4つです。
1.法人形態要件
2.事業要件
3.議決権要件
4.役員要件
法人が農業を営むにあたり、農地を所有(売買)しようとする場合は、必ず上記の要件を満たす必要があります。ただし、農地を利用しない農業を営む法人や、農地を借りて農業を営む法人は、必ずしも農地所有適格法人の要件を満たす必要はありません。法人化する場合、どの形態の法人を選ぶのか、それぞれの法人形態の特色や自らの経営展望に照らして選択する必要があります。
サポートします! 農業経営の法人化
農業経営の法人化は、これからの農業政策の柱のひとつに位置付づけられており、農業法人は農業の6次産業化に率先して取り組む経営体として、また、新規就農者らの雇用の受け皿として、大きな期待と関心が寄せられています。
農業経営法人化の主なメリットは次のとおりです。
1.経営体の円滑な継承
2.経営管理能力や資金調達力、対外信用力の向上
3.雇用労働関係の明確化や労災保険などの適用による農業従事者の福利厚生の充実
4.新規就農者の確保が容易になる
しかしながら、これらのメリットは、法人化することによって自動的に享受されるものではなく、農業経営の継続・発展のための経営努力のなかで生み出され、獲得していくものとして理解する必要があります。 また、法人化することによって、管理コストの上昇や農地等の相続税の納税猶予制度、生前一括贈与の特例を受けられなくなる場合もありますので、自らの経営内容、状況等を多角的に検討し、法人化に着手することが大切です。
法人化のメリットと義務・負担
メリット | 義務・負担 | ||
経営・運営面 | 経営の発展 |
①経営責任に対する自覚を持つことで、経営者 としての意識改革を促進 ②家計と経営を分離し、経営管理を徹底 ③農地の集積・集約、人材の確保等により経営 規模を拡大しやすい ④経営の多角化、6次産業化を有利に展開 |
①複式簿記(企業会計規則)での 記帳義務(財務管理の複雑化)に より多少労力が必要 ②会計事務や税務申告を専門家に 依頼すると経費負担が発生 ③法人の設立には、資本金、設立 登記費用等の経費が必要 ④雇用した場合、農業機械の取扱い や疾病予防、事故等の応急措置 などの安全衛生教育が必要 |
対外信用力 |
①計数管理の明確化や各種法定義務(設立 登記、経営報告等)を伴うため、金融機関・ 取引先の信用力が向上 ②法人となることでイメージが向上し、資金 調達、販路開拓や従業員の雇用等が円滑化 | ||
人材・後継者 の確保・育成 |
①労働保険・社会保険の整備や複利講師の充実 等により他産業従事経験者を含む多様な 能力・ノウハウを持つ人材を確保しやすい ②法人の役員、社員等の中から有能な者を 後継者として確保することが可能 |
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地域社会への 貢献 |
耕作受託による地域の農地の維持・管理や、 農複連携等により地域社会に貢献しやすい |
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経営継承の 計画的実施 |
農地や施設・機械等の有形資産、経営理念や 技術・ノウハウ、信用等の無形資産の計画的 な継承が可能 |
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制 度 面 | 税 制 |
①所得の分配による事業主への課税軽減 ②定率課税の法人税の適用 ③役員報酬の給与所得化による節税 (一部制限あり) ④使用人兼務役員賞与の損金算入 ⑤退職給与等の損金算入 ⑥欠損金の10年間繰越控除 (青色申告法人に限る) ⑦農業経営基盤強化準備金の活用 (青色申告法人で認定農業者に限る) |
①法人課税の適用が個人課税より 有利となるためには一定以上の 所得規模が必要 ②法人の場合、利益がなくても最低 限、都道府県民税(均等割)、 市町村民税(均等割)の納税義務 が発生 |
社会保障制度 |
①労働保険、社会保険の適用により農業従事者 の福利厚生が充実 ②労働時間等の就業規則の整備、給与制の導入 により就業条件が明確化 |
各種社会保険制度の導入により、 事業主負担が発生 |
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制度資金 |
①融資限度額の拡大(認定農業者に限る) ②農業経営基盤強化資金(スーパーL資金)の 低利融資(認定農業者に限る) ③農林漁業法人等投資育成制度の活用 |
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農地制度 |
農地中間管理機構が農用地等を現物出資する ことにより農地取得の負担軽減 (農地所有適格法人出資育成事業) |